-人工物がないことが、豊かな自然との共生を生む、アフリカでの体験
そんな科学的に野菜を育てているお二人が、農家になるきっかけは、アフリカでの体験だったという。2人とも大学を卒業後、国は違うが偶然同じタイミングで、アフリカへ青年海外協力隊に行っている。そこで電気・ガス・水道がなく資源が限られている環境で、自然と共生する現地の人々に感銘を受けたそうだ。
「アフリカの田舎の方に野菜栽培の指導員として携わらせてもらったのですが、アドバイスするどころか、物資とかが豊かじゃないのに、現地にあるものでうまいこと自然に合わせてやりくりしながら生きてる姿が、めちゃくちゃかっこよくて。そういうことをやれるようになったら良いなと思ったところから、気付いたら農家になってました。(笑)」(麻里さん)
「元々首都圏で生まれ育ったからより感じるけど、都市って人が住みやすいように人工的に自然のものを無くしているので、生活する中で気付いてなかったことが多かったと思います。畑にいると自分たちも生き物のサイクルの中にいて、植物が光合成をして体を作って、それを虫や微生物や人間が食べて、ぐるぐる回っているということを実感として気づけることは本当に楽しい。ニワトリにお米とか野菜を餌としてあげて、それが卵として出てきたり、きのこも炭水化物とかを栄養に菌が育っていく。全体の自然が動いていて、所詮自分はその中の一部でしかないということを、実体験として感じられることはすごく面白いなと思います。」
「今は専業農家だけでなくいろんな農業のかたちがあって、週に何回って頻度を減らして兼業で働いたり、季節限定で栽培している方もいます。私がもし一人になったらと時々考えたりするけど、女性向きのやり方もあるだろうし。家庭菜園を含め農業に対する関わり方って本当に多様なので、あんまり気負いすぎずに自分の気持ちや物理的な状況に合ったかたちを探して、農に触れる人が増えていったらいいなと凄く思います。」