「え、AIGLE?」
取材の依頼元を聞いて好奇心と戸惑いと下心とで、きっとなんか変な顔をしながら承諾してたはず。
はじめまして、長野県千曲市倉科地区のワイナリー「の音wines」(ノオトワインズ)の依田研一です。
どうしても、生まれ育ったここ倉科でワインをつくりたくなってしまい、それまで東京と沖縄でレストランのソムリエをしていたのですが家族を連れてUターン、2016年に畑にワインぶどうの苗木を植えるところからはじまりました。
AIGLEはもちろん知ってました、フランスワインが大好きなフランスかぶれの元ソムリエ農家としては憧れのアウトドアブランド、ラバーブーツの元祖。そして、“よそいき”な存在でもありました。
ふだんのぶどう畑で履いているのは丸五の地下足袋、長靴を履くならミツウマかワークマン。AIGLEのラバーブーツという選択肢(資金力)は出てきてくれません。
取材だけかな、と思っていたらブログも書いてね、って。
天と「土」と人と
AIGLEの新しいコンセプト「SOIL TOI(ソイル トワ)」、土とあなた。
ブランドのルーツはラバーブーツ、すなわち「土」。土に生きる人々にきちんと向き合ってつながろうとする姿勢に、素直に共感しました。
僕にとって純粋な理想としての「ワイン」とは、
【天(宇宙)の恵みと、地(土)の恵みと、人類の歴史とを、最短距離でとてもシンプルにつないでくれる、かぐわしく喜ばしく美しい飲み物】
です。
僕らは酷暑でも極寒でも日々、土を踏みます。だから当たり前の日常すぎて・慣れすぎてしまって、ともすると「地(土)の恵み」を認知できずに過ごしているかも、いやきっと素通りしてる。
土とわたし、「SOIL MOI(ソイル モワ)」、最初に苗木を植えた頃が思い起こされました。
“あいだ”の話
ある春の日、地下足袋とAIGLEブーツを軽トラックの荷台に積んで畑に向かいました。
運転中に揺れてブーツが倒れたね、地下足袋にAIGLEブーツが寄りかかっている感じ。
なんか、仲良さそうに見えた。
「そうだよな、同じものづくりを志す仲間だもんな。」ってそんな風に思いました。
それまでどんなブログを書こうかと思案していましたが、普段履いている地下足袋とフランス製ブーツとの“あいだ”(距離感)がつながるようなブログにしたいなとその時に思いました。
そしてきっと自然にそうなっていくんだろうなって、なんとなく今は思っています。
ぶどうのなみだ
二十四節季は、「清明・せいめい」
天地万物が 清らかな明るさに輝き 生き生きするころ 花咲き鳥歌う
ぶどう樹たちも土中の水を吸い上げて枝の隅々まで届けます、芽までたっぷりと。
「水揚げ」と言いますが、ぶどうのなみだ、なんて言ったりもします。
剪定したぶどう樹の誘引作業も大詰めです、萌芽までには終わらせないと。
なかなかに良いたたずまいの近所の妙音寺の桜。
つられるように畑のオオイヌノフグリも満開っぽくて。
信州・千曲のぶどう畑から、「ワインづくり」の日常をお届けしたいと思っています。
明日もよい日になりますように