温暖な鹿児島も、そろそろ稲刈りの季節です。
田植えの時と同じように、この時期になると少しピリピリします。
台風は来ないかな。
病気や獣害は大丈夫かな。
ちゃんと実ってくれているかな。
田んぼを見ながら、そんなことを毎日のように考えています。
今年は、これまで経験したことのないほど雨の少ないシーズンでした。1か月以上雨が降らない時期もあり、田植えから収穫まで、全体を通して水不足に悩まされた一年でした。
1.6haの田植えが、実際にしっかりと実りを迎えたのは1.3haほど。
自然相手の農業では、毎年同じようにはいきません。
毎年毎年1年生で2度と同じ環境で作付けできないのに経験を元に改善していきます。
それでも、こうして稲穂が実り、もうすぐ収穫を迎えられることには、やっぱりほっとします。

この土地に移ってきて、今年で3年目。
耕作する面積は、初年度から比べると約5倍になりました。
自分たちが食べるために育てていたお米が、今ではNONOTABIの主な栽培品目のひとつになっています。
今年からはちゃんと商品名もつけて
『湧水と田んぼの生きもので育った自然栽培のお米』
そのまんまを伝えたくてちょっと長くなりました。
パッケージもイラストレーターさんに描いてもらって可愛らしい感じに仕上がりました。
3年前、米の価格が上がり始めた頃から、昨年はさらに大きく価格が上がり、そして今年は一転して大きく下がりました。
もちろん、価格が上がると思ったから米を増やしたわけではありません。
僕たちが暮らす地域は、いわゆる地方の担い手不足の過疎地。先日発表された「消滅可能性自治体」にもきちんと含まれていました。
そんな場所で農家としてできることは何だろうと考えたとき、まずは、自分たちができる範囲で耕作する土地を増やし、きちんと管理していくことでした。
耕作されなくなった田畑が増えていく中で、誰かが使い続けること自体にも意味があると思ったからです。
そして、少し嬉しい変化もありました。
僕たちが農業を続けていると、
「どうやって作っているの?」
と、栽培方法に興味を持ってくれる人が少しずつ増えてきました。
僕たちは農薬を使わないだけでなく、化学肥料も、基本的には肥料そのものも使わない方法でお米を育てています。
それでも、これだけ収穫できる。
そのことをきっかけに、地域でちょっとした勉強会が開かれることもありました。
自分たちがやっていることが、誰かの興味につながり、そこからまた別の人が農業や環境について考える。
農家として、こういう広がりはとても嬉しいことです。
僕たちは、健康や身体のためという理由だけでオーガニックを選んでいるわけではありません。
どちらかというと、自然や環境のため。
自分たちが暮らしている場所を、できるだけ負荷の少ない状態で次の世代に残したい。
そんな気持ちから、自然に近い農業を選んでいます。
地域の地場産業であるお茶も、海外市場の広がりなどを背景に、オーガニックへの転換が進んでいます。
きっかけが「海外に売るため」だったとしても、それによって農薬や化学肥料への依存が減り、自然への負荷が小さくなるのであれば、それはとても良いことだと思います。
理由はひとつでなくてもいい。
結果として、少しずつ環境に優しい方向へ進んでいけばいい。
そんなふうに思っています。今年は、全国各地で大雨による冠水被害も多くありました。
農業をしていると、天候の変化や自然の影響を、どうしても身近に感じます。
もちろん、農業だけですべてを変えられるわけではありません。
それでも、一人ひとりが少しずつでも環境への負荷が少ない方を選んでいけば、地域の風景も、農業のあり方も、少しずつ変わっていくのかもしれません。
まずは今年のお米を、無事に収穫するところから。
今年も田んぼから、たくさんのことを教えてもらいました。

